- HOME>
- がん光免疫治療
光がん免疫療法とは
・正式には光線力学療法(PDT: Photodynamic Therapy)と呼ばれるもので、日本で開発された治療法です。
当初は悪性脳腫瘍に対する低侵襲治療として始められました。
・2020年9月にEGFRモノクローナル抗体と光感受性物質である色素IR700を用いた治療法が
一部の頭頸部癌に対して保険承認されています。
・光感受性物質物質(光によって活性化される特殊な薬剤)を患者さんに点滴し、
光感受性物質が集積したがん組織に反応する特定の波長のレーザー光を照射して、がん細胞に有毒な活性酸素を作り出し、がん細胞を破壊する治療法です。
・乳がん、胃がん、食道がん、膵臓がんなど種々のがん治療に応用可能です。
・一般的に安全で効果的な治療法と言えますが、光に対する皮膚の過敏症、腫れ、発赤、および治療部位の痛みなどの若干の副作用は起こることがあります。
・レーザー照射で破壊されたがん細胞から放出されるがん抗原が、免疫の司令塔である樹状細胞にこのがん抗原が提示され、細胞傷害性T細胞へがんの情報が伝えられがんを攻撃します。
照射部から離れた全身の転移巣に対しても効果を発揮する可能性があります。

光がん免疫療法の仕組み

光感受性物質について
ICG,IR780の2薬剤を使用しますが、より多くがん細胞へ集積させるための研究開発がなされています。
“ステルス”・リポソーム
薬剤をリポソーム化する
薬剤そのままでは、組織内に侵入できないので、脂質(リン脂質)で薬剤を包み、組織内に届くようにします。(一般的には化粧品でこの技術が応用されています)この仕組みを「ドラッグデリバリーシステム」と呼びます。

ポリエチレングリコールPolyethylene glycol(PEG) で包む:白玉球(マクロファージ)は細菌などの外敵侵入を防ぎますが、リポソームは異物とみなされてマクロファージが食べてしまいます。このため、がん細胞に到達できません。
リポソームをPEGで包み込むことにより、マクロファージに異物とみなされなくなりました。
*PEGは抗体産生しにくいポリマーです。
光感受性物質の種類
ICGリポソーム
ICGリポソームは、光感受性物質であるインドシアニングリーン(ICG)を組み込んだリポソームです。
ICGは光を吸収して活性酸素を発生し、がん細胞や新生血管を攻撃します。
IR780リポソーム
IR780は、がん細胞に集積しやすく、特にミトコンドリアに集積してダメージのスタート地点を作ることが大きな利点です。近赤外線を照射すると、活性酸素による反応と温熱作用の両方が起こり、ミトコンドリアの機能低下を引き起こして、がん細胞の増殖や生存を支える仕組みを攻撃します。
つまり活性酸素と熱、ミトコンドリア障害の複数の強い抗腫瘍作用が期待されます。
また、IR780は超音波にも反応しうることが報告されており、条件によっては光照射がない場合でも、抗腫瘍作用が期待できる点も利点です。
光感受性物質ががん細胞に集積する仕組み
がん細胞により効果的に光感受性物質を届けるために「EPR効果Enhanced Permeability and Retention」が使われます。
がん細胞周囲の血管は不整、不完全であり、血管内皮細胞の間に200nm程度の隙間があります。
正常な細胞の周囲の隙間は6~7nm程度であるため、200nm未満のサイズであるリポゾーム粒子は正常な組織には取り込まれず、腫瘍組織内に侵入し、停留します。
このような現象ををEPR効果と呼びます。

がん細胞殺傷の理論
・患者さんに点滴し、がん細胞に集積した光感受性物質はレーザー光を当てると、高エネルギー状態となります。
この際、高エネルギーの光感受性物質が電子を放出し周囲の酸素が「活性酸素」となります。
この活性酸素が、がん細胞を破壊します。
・当院では光感受性物質としてICGとIR-780を使用しています。
・ICGは一般検査用薬として広く臨床で用いられ、安全性の高い光感受性物質です。
・IR780はがん細胞に集まりやすく、特にミトコンドリアに集積してダメージの起点(細胞死の起爆点)を作れることが特徴です。光反応を要せずとも抗腫瘍効果があります。

レーザー光照射器
新型スーパーライザーEX
光治療で用いられるレーザー光照射器は、光感受性物質を「エネルギーを高い状態にする」のに適した波長600~1000nmの近赤外光を発射するものが使用されます。
当院で使用するレーザーデバイスは国内承認機器です。
およそ四半世紀の歴史を持つ東京医研株式会社製の近赤外線治療器「スーパーライザー」は、光の中で最も生体深達性の高い波長帯の近赤外線を、高出力でスポット状に照射することを可能にした日本初の光線治療器です。
スーパーライザーEXの特徴
① 光源に高精度LEDを初採用
・発光効率がよく全光束が多い高精度LEDは、応答性に優れていていかなる環境下でも安定した性能を発揮します。
・高精度LEDの光源搭載により生体内での受光量は従来器の4倍相当になりました。
② 新波長帯を新たに採用
・新たに600~1,000㎚の波長帯を採用しました。
従来器の1,000nm以上の波長帯を除き純粋に生体深達性に優れる、いわゆる「生体の窓」と呼ばれる複合波長帯にしました。
・LED光源とのマッチングにより従来器の1.5倍強の深達性を有します。
・この波長帯とLED光源とのマッチングにより火傷の危険性を回避しつつ体内到達エネルギー量が大幅に増加させることに成功しました。

がん光免疫治療のながれ
STEP01
初診、説明

STEP02
光感受性物質点滴(約30分)
-.png)
翌日
STEP03
レーザー光照射(約60分)
.png)
2日間連続の治療を1クール5回(全10日通院)
がん光免疫治療の長所 / 短所
長所
・選択的にがん細胞を狙い撃つ
・局所的治療×全身治療免疫細胞の活性化によりがん細胞を攻撃
・正常細胞にはダメージを与えずがん細胞のみを破壊する低侵襲治療
・三大標準治療との併用も可能相乗効果を狙った複合治療という選択
・多くの癌腫や転移がんにも有効な臨床効果があります。
短所
・リン脂質を含有する製剤のためごくまれに食欲不振、悪心、腹痛、黄疸などのPLD(リン脂質症)症状がでることがあります。
・ICGを含有する製剤はごくまれに悪心、口唇のしびれ、蕁麻疹、発熱、ショック症状などを諸症状がおきる場合があります。
・レーザー光により皮膚炎や低温やけどの可能性があります。
・光過敏症の方などは治療後に皮膚炎を呈することがあります。
費用
| 通常 IR780点滴 5回照射 | 1,880,000円(税込) |
|---|
