- HOME>
- 樹状細胞治療とは
樹状細胞療法
樹状細胞は血液中に存在する体内の免疫の司令塔です。
その働きは、
① がん細胞を貪食(細胞内に取り込む)し、がん細胞をバラバラにして、どんな異常ペプチド(目印)をがん細胞がもっているかを調べます。
② その情報を他の攻撃型免疫細胞(T細胞)に情報を伝えます。
③ がんの情報を受け取ったT細胞はそのがんを攻撃するように性質を変え、攻撃態勢に入り、がん細胞を倒します。
この3つのステップが重要です。
樹状細胞療法の種類
がん遺伝子変異解析によるネオアンチゲンを用いたカスタムメイド免疫治療
がん遺伝子変異解析を実施し、それにより得た遺伝子異常の情報を用いて、そのがん細胞のオリジナルのがん抗原(ペプチド:ネオアンチゲン)を作成し、樹状細胞に貪食(どんしょく)させ、その方だけのオリジナル樹状細胞ワクチンを作成する方法です。
実際の流れ
1) 樹状細胞とがんの目印であるネオアンチゲンをともに培養し、樹状細胞にネオアンチゲンを貪食させる(取り込ませる)。
2)樹状細胞を点滴できるように精製する。
3)患者さんに点滴する。
4)体内に入った樹状細胞がリンパ節に移動し、T細胞にがんの情報を伝える。
①血液からがんの遺伝子解析(リキッドバイオプシー)を行いネオアンチゲンを合成
1) 血液約2occを採血し、がんの遺伝子解析を行う。
ネオアンチゲンを合成する。
2) 樹状細胞とがんの目印であるネオアンチゲンをともに培養し、樹状細胞にネオアンチゲンを貪食させる(取り込ませる)。
3)樹状細胞を点滴できるように精製する。
4)患者さんに点滴する。
②人工ペプチドによる樹状細胞療法
ご自身のがん標本(手術や検査で採取したもの)を入手できない方やネオアンチゲンを作成できない場合は人工的に作製したがんの目印であるペプチドを樹状細胞に取り込ませます。
重要なことは人工ペプチドが樹状細胞にきちんと取り込まれることです。樹状細胞にはHLA(Human Leukocyte Antigen)と呼ばれる、表面にでている白血球の型があり、細胞内に取り込まれるにはこの型が決め手です。
当院で使用する人工ペプチドはドイツMiltenyi Biotech社製(Friedrich-Ebert-Straße 68 51429 Bergisch Gladbach, Germany)
“MACS® GMP PepTivator®”を使用しています。
このペプチドは、配列の異なる複数のペプチドの混合物で、使用するがんタンパク質の全配列をカバーしています。
したがってどのようなHLAの型の患者さんにも使用することができます。
使用できるペプチドは、WT-1,MUC1,NYESO-1,HER2です。
実際の流れ
1)採血約40〜80cc採血します。
2)樹状細胞を増やすー血液中の単球を分離し、IL-14,GM-CSFを加え培養し樹状細胞を増やす
3) 樹状細胞とがんの目印である人工ペプチドを貪食させる(取り込ませる)。WT-1 やMUC1など
4)患者さんに点滴する。